D.LEAGUEでは、レギュラーシーズンの中に特別ROUNDとして、CYPHERを開催しています。
24-25 シーズンではROUND.12にてダンサーの個性を出せる場としてCYPHER ROUNDが行われました。
通常ROUNDはチーム vs チームの作品対決ですが、
CYPHER ROUNDでは各チームから1〜3名づつ選出され5つのCYPHERを通して順位を競い合います。
JUDGE
-
KENTARO!! Dayonashiik
-
MEDUSA ebony
-
KAZANE LUCIFER
Novel Nextus -
バファリン IB6side
-
KATSUYA THE FLOORRIORZ
TAKE NOTICE

KENTARO!!
Dayonashiik
ダンサー/振付家/音楽家。自作音源を駆使し、ストリートダンスを基調としながら比喩に満ちた長編をソロ、グループ合わせて30本以上創作。
国内外で単独公演を行う。アートシーンでも様々な賞を受賞。

MEDUSA
ebony
WAACK/PUNKINGを主に、独自のスタイルで表現し、高度なボディーコントロールとしなやかなダンスで人々を魅了する。アーティストのバックダンサーや舞台出演、演出や振付を手がけ、国内外を問わず活躍している。
JUDGE COMMENT
CYPHER ROUNDは、いつもと違った空気感の中で、一人ひとりのダンサーとしての背景がより鮮明に見え、心に強く響くダンスを観ることができました。本当に光栄でした!
皆さんの懸けてきた熱い思いがこちらにも伝わり、私自身も心が熱くなりました。本当に、全員が素晴らしかったです!
その中でも、特に「個」のオーラが際立っている人たちに自然と目が惹かれました。広い会場の空気が一気に集中し、まるで空間が狭くなるような感覚。そして第六感を刺激するような、感動的な瞬間の連続でした。そんな皆さんのダンスを観られたことに、心から感謝します!
基本の評価軸は以下の3点です
• ミュージカリティ(音楽の聴き方や表現方法)
• その場の空気感を自分のものにできているか
• 独自性のある表現力
これらを総合的に見て、評価させていただきました。
1st CYPHER:RIHO(Medical Concierge I’moon)
Nice groove & funky!音楽へのアプローチの中に、何度も心を奪われる瞬間がありました。
STOPとノリのバランスや、絶妙なニュアンスの表現力がとても素敵で、様々なステップに織り交ぜて見せるLOCKも魅力的でした。RIHOさんの身体能力の高さも光っており、本当に素晴らしかったです。
2nd CYPHER:CyberAgent Legit
ATOさんと1chさん、それぞれのクリアな表現力と微妙に異なるHIPHOPスタイルが混じり合い、とても素敵でした。
緩急のつけ方も抜群で、音楽の捉え方は共通しつつも、個々のニュアンスで違いを見せていたのが印象的でした。音楽のタイミングとぴったり合ったローな動きや、ルーティンのハマり方も高評価のポイントでした。
3rd CYPHER:Takuya(DYM MESSENGERS)
一気に会場の雰囲気をアンダーグラウンドに変えた印象がとても強かったです。
重低音をしっかりと感じ取り、脱力しながら踊る “dopeな音の捉え方”、そして高身長を活かした動きの高低差。全体を通して「自然にフローする感覚」が表れていて、とても秀逸でした。
音が急に変わっても動じることなく、自分のスタイルを貫いていた点も高く評価しました。
4th CYPHER:Medical Concierge I’moon
「ここ、ジャマイカかな?」と思わせるようなSP周平くんの表現に、miyuさんとNANAさんも負けじとしっかりとReggaeを表現していて、3人の一体感がありました。
楽曲自体はReggaeではなかったのに、ダンスの表現力で完全にダンスホールの世界に引き込まれました。細かい音も太ももでリズムをとったり、腰の使い方もスキルフルで、思わず吹き出すほど楽しかったです(笑)
最高のバイブスをありがとうございました!
5th CYPHER:calin(LIFULL ALT-RHYTHM)
音楽へのアプローチの仕方が非常に洗練されており、しなやかで多様なアームスやボディコントロールから生まれるダンスに、空気が一変しました。
身体そのものから音楽が奏でられているようで、その質感はとてもクリアでありながら普遍的。驚きの連続で、思わず目を奪われました。
まさに圧巻のダンスで、文句なしの高評価でした。

KAZANE
LUCIFER
Novel Nextus
国内外一線で活躍し、唯一無二のハウスダンスを武器とする。15回を超える世界大会での優勝経歴、BTS、JHOPEを始め、様々なアーティストへの指導、振付など幅広く活動している。
JUDGE COMMENT
今回は、通常のラウンドとは異なり、Dリーガーたちが新鮮な気持ちで挑んでいた様子が印象的でした。
ソロ・デュオ・トリオと、それぞれ異なる形式のサイファーをしっかりジャッジさせていただきましたが、どのチームも非常にハイレベルで、差をつけるのが本当に難しかったです。
● ソロ部門
まずは**ダンス力(動き一つひとつの説得力や基礎力)**を前提に評価しました。
その上で注目したのは、以下の2点です:
• LIVE感(音楽としっかり向き合い、即興性を活かせているか)
• 自分に与えられた時間の使い方
● デュオ/トリオ部門
上記のダンス力に加え、
• メンバー同士のスキルバランス
• 表現したいイメージの一致度
この2点を重視してジャッジしました。
1st CYPHER:CHIHIRO(LIFULL ALT-RHYTHM)
この形式の**ソロパフォーマンスにおいて非常に“強い”**印象を受けました。
踊り始める前に、しっかりと自分の空気感でステージを包み込み、落ち着いた入りができていた点がとても印象的でした。
加えて、音の聴き方も冷静で、耳で捉えたすべての情報を的確にダンスに表現できていたことが高評価に繋がりました。
2nd CYPHER:FULLCAST RAISERZ
二人からは、強い存在感と責任感が伝わってきました。
構成でステージを大きく使ってるなどの派手さは ないものの、それぞれのソロスキルとコンビネーションにおける緩急のコントロールの精度が非常に高く、圧巻でした。文句なしの高評価です。
3rd CYPHER:KANAU(SEGA SAMMY LUX)
「何を見せたいのか」がとてもクリアで、気持ちよさそうに踊っていた姿が印象的でした。
終始集中力を切らさず、与えられた時間を丁寧かつしっかりと使い切った姿勢が、評価ポイントになりました。
4th CYPHER:CyberAgent Legit
3人のスキルバランスが高いレベルで整っており、安心して見ていられるチームでした。
1つのコンセプトを軸に、展開のバリエーションが豊かで引き込まれました。
3人それぞれのソロパートの構成、そしてソロ後の「回収」までしっかり練られていた点も高評価の要因です。
5th CYPHER:YUYA(SEPTENI RAPTURES)
前半から全力で飛ばしていたにもかかわらず、最後まで集中力を切らさず踊り切っていたのが素晴らしかったです。
その中でも、“遊び”の部分をしっかり表現しつつ、時間の使い方も非常に上手でした。
特に印象的だったのは、自分のターンをあえてしっかり締めず、次のDリーガーへ自然とバトンを渡すような余裕のある立ち振る舞い。その姿に心を掴まれました。

バファリン
IB6side
バトル,コンテスト,WS,ジャッジ,ゲストショー,舞台,イベントオーガナイズ,指導など国内外問わず幅広く活動し、茨城初poppingチームでの世界大会受賞など茨城から可能性を切り開いている。
JUDGE COMMENT
今回は、通常のラウンドとは違い、**サイファーラウンドならではの“LIVE感”**を強く感じました。
ここでいう「LIVE感」とは、
自分の出番前のソロやチームのダンスに対して“アンサーできる余白”を持っているかどうか。
その場で感じ取り、即興的に対応できる柔軟さやライブ性が、全体を通して非常に魅力的でした。
ダンステクニックの高さを基本としつつ、
その上にある**“余裕感”や“遊び心”**を含めて、総合的に評価させていただきました。
1st CYPHER:SHOHEY(List::X)
登場の瞬間から勢いと自信があり、
自分のスタイルを崩すことなく、ステージを自由に広く使えていたのがとても印象的でした。
また、しっかりとしたテクニックがあるからこそ伝わる余裕感もあり、見ていてとても心地よく、高評価につながりました。
2nd CYPHER:Valuence INFINITIES
ハイレベルなダンスをキープしながらも、常に“遊び心”を感じさせる2人でした。
さらに、観客の目を惹きつけるような見やすいギミックや、体格差を活かした構成など、随所に工夫が光っており、ソロもルーティーンも終始惹き込まれる内容で、高得点となりました。
3rd CYPHER:MiYU(SEPTENI RAPTURES)
ひと言で言えば「カッコよかった」。
ですが、そこからもう一歩深く言うならば、
**“観ている側が自然とノれるダンス力”**と、
“そこから感じる力強さ”、そして
**“女性ならではの美しいシルエット”**が絶妙に重なり合っていたように思います。
高いテクニックの上に、**MiYUさん自身のパーソナリティー(個性)**がしっかり表れていたことが、強い印象を残し、高評価となりました。
4th CYPHER:KOSÉ 8ROCKS
この3人は、まさにダンスにおける**「遊び」×「テクニック」**を体現しているチームでした。
何をしても成立すると思わせるような、圧倒的なキャリアと経験値を感じましたし、
その背景があるからこそ出せる余裕やLIVE感がしっかり伝わり、高評価につながりました。
5th CYPHER:RUNA MIURA(List::X)
周囲の目を一切気にせず、自己表現に徹していた姿がとても印象的でした。
それを見て、「自分を貫くことの大切さ」を改めて感じさせられました。
ある種“狂気”すら感じさせるほど振り切った表現力で、
認めざるをえない圧倒的な存在感があり、高く評価させていただきました。

KATSUYA
THE FLOORRIORZ
TAKE NOTICE
BREAKINGのワールドカップとも言われるBOTYにて、史上初の3連覇を達成。
舞台作品への出演や、バトルや映像への自作音源の提供等を行い、活動の幅を広げている。
JUDGE COMMENT
通常ラウンドとは異なり、ルールの縛りがないサイファーラウンドだからこそ、
各ダンサーの個性あふれるダンススタイルや、仲間との信頼関係が随所に感じられ、とても見応えのあるラウンドとなりました。
まずダンステクニックの高さをベースに評価。
加えて、以下の3点を重視してジャッジしました。
• 音楽に対するアプローチ
• LIVE感(=偶発的な流れから生まれる、ダンサー同士の見せ方や表現のやりとり)
• バトル感
ただし、これらをすべて超えてくるような「何か」があるかどうか——つまり、主観的にもっとも評価したくなるような、既成概念を壊すような力があるかも重視しました。
見ている側が“考える間すらない”ような恍惚感や高揚感を与えられた場合は、自然と高得点になりました。
1st CYPHER:TSUKKI(Valuence INFINITIES)
誰が見ても「すごい!」と思えるハイスキルなパワームーブに加え、
「技の中にテンポやリズム感があること」、
「パワームーブだけでストーリーを展開していく力」がとても見やすく、自然と引き込まれました。
圧倒的なスキルに加えて、“華”もあり、総合的に圧巻のパフォーマンスで高評価となりました。
2nd CYPHER:KOSÉ 8ROCKS
個々の存在感が強いだけでなく、2人の流れが一切途切れないのが印象的でした。
ソロとルーティーンの境界が曖昧で、ずっと高クオリティなダンスが連続して続いていたことも評価ポイント。
全体として完成度が非常に高く、高得点となりました。
3rd CYPHER:SHO(dip BATTLES)
高く評価した主な理由は2点あります。
1つは、自身のフィジカル的な特徴を活かしたムーブを隙なくしっかり決め切っていたこと。
もう1つは、登場時からの空気の作り方や“遊び”と“スキル”のバランス感が絶妙だったことです。
与えられた時間をどう使うか、という部分でも光るものがあり、得点に差をつける決め手となりました。
4th CYPHER:DYM MESSENGERS
3人とも芯のあるダンスを持っていて、ロックダンスの型を崩しても“味”や“余裕”に変わる表現力がありました。
それぞれ異なるアプローチながらも、自由な表現力や遊び心がしっかり伝わってくる、見応えあるチームで、高評価につながりました。
5th CYPHER:颯希(SATSUKI)(KADOKAWA DREAMS)
3rdサイファーのSHOと同様に、颯希くんも登場からラストまで、完全にステージを“自分の色”に染め上げていた印象でした。
ボディコントロールの精度や、集中力の持続、さらに予想を裏切るサプライズ的な演出まであり、
そのパフォーマンス全体を通して、非常に高く評価させていただきました。
CHAMPIONSHIPは、13ROUNDのリーグ戦とCHPYER ROUNDによって成り立つ全14ROUNDで構成される、
約半年間のREGULAR SEASONを戦い、CHAMPIONSHIP POINT上位6チームが進出できます。
CHAMPIONSHIPはトーナメント方式で開催され、見事勝ち抜いたチームがSEASON CHAMPIONに輝きます。
トーナメントはTRIAL MATCH(準々決勝)・SEMI FINAL MATCH(準決勝)・FINAL MATCH(決勝)の3つで構成され、
REGULAR SEASON 1位 or 2位で通過したチームは、シードにより SEMI FINAL MATCHからの試合となります。
全体評価
JUDGE
-
CHIHARU TRF
-
HideboH
-
PEET Be Bop Crew
Style of fusion -
長谷川達也 DAZZLE
-
KAORIalive K fam
Memorable Moment -
KENTARO!! Dayonashiik
-
MEDUSA ebony
-
Toyotaka Beat Buddy Boi
-
バファリン IB6side
-
KATSUYA THE FLOORRIORZ
TAKE NOTICE -
UNO
-
KAZANE LUCIFER
Novel Nextus -
Sota GANMI
専門評価
JUDGE
-
SHUHO TOKYO FOOWORKZ
-
GUCCHON Co-thkoo
FAB5BOOGz ALL STARz
HOOD CREW
WATER BOYz
-
WREIKO DEEP
0ne∞ness
狛犬 -
HANAI BE BOP CREW
-
KATSU ONE

CHIHARU
TRF
1993年にTRFとしてデビュー。TRFの活動、コンサート演出、ステージング、アーティストの振付を行う。 2023年、TRFデビュー30周年を迎え行われた⽇本武道館ライブでは完売、⼤成功で幕を閉じた。
JUDGE COMMENT
かつて、ダンサーがアーティストではなく「バックダンサー」としてしか評価されなかった時代から比べると、今のこの状況はまさに“奇跡”のようで、信じられないほど素晴らしいことだと感じました。
Dリーグという場所が、ダンサーが“ダンサーのまま”輝ける場として存在していることに、心から驚きと感動を覚えました。
そして何より、どのチームも本当にハイレベルで、ジャッジは非常に難しかったです。
それでも、こうした舞台が今後も続き、ダンサーが本来の姿で光を放てる場所が守られていくことを心から願っています。
「評価軸」というよりは、ジャッジの進め方になるかもしれませんが、まずは対戦する2作品をしっかり“感じ取る”ことを大事にしました。
そのうえで、総合的にどちらがより心を動かしたかを判断し、最後に「なぜその差が生まれたのか?」という視点で、項目ごとに要因を分析するという流れで審査を行いました。
1st SEMI FINAL
Valuence INFINITIES vs CyberAgent Legit
テクニック ▶ Valuence INFINITIES
両チームともストリートダンスのフレイバーを感じさせつつ、それぞれ異なるスタイルで表現しており、非常に難しいジャッジとなりました。その中で、音楽に対するアプローチと身体表現の深さから、バリュエンスの表現力に軍配が上がりました。
コレオグラフィー ▶ CyberAgent Legit
チーム全体の一体感と、音楽に対するアプローチが非常に明確で、観ていてとても引き込まれました。ジャンルの切り替えも滑らかで、そのシームレスな展開が作品としての完成度を高めていました。
ステージング ▶ CyberAgent Legit
作品の最初から最後まで視線を奪われる展開で、いわゆる「スキ」のない構成が印象的でした。音楽・照明・振付・構成など、あらゆる要素が高いレベルで噛み合っており、その完成度の高さを高く評価しました。

HideboH
映画「座頭市」Netflix映画『浅草キッド』のタップ振付を担当。近年は自身の出演をはじめ振付や演出などのクリエイティブ活動、芝居や歌へも取り組み、映画やミュージカルへの出演は多岐に渡る。
JUDGE COMMENT
これまでのシーズンでもジャッジを務めさせていただきましたが、今シーズンは特にDリーグの進化を強く実感しました。
その要因のひとつは、Dリーガーの皆さんが自身の得意ジャンルにとどまらず、他ジャンルのスタイルも高いレベルで習得し、作品にしっかりと落とし込んでいたことです。
また、スポンサーのバックアップのもと、多くの仲間や関係者と共に戦える環境があることも、この進化を後押ししているのだと感じました。
今回は「作品としての独創性」に特に注目して評価を行いました。
独創的な作品を生み出すには、高度なダンステクニックや新しいアイデア、そしてそれを具現化するための膨大な練習量が必要です。
結果的に、独創性を評価するということは、テクニック・構成・表現・アイデアといったあらゆる要素に目を向け、総合的に判断する必要があるということでもあります。
だからこそ、今回は「独創性」という観点を軸に、作品全体をしっかりと感じ取りながらジャッジを行いました。
2ndTRIAL
KOSÉ 8ROCKS vs SEPTENI RAPTURES
テクニック:KOSÉ 8ROCKS
ブレイキンという枠組みを超え、さらに進化したスタイルを見せてくれたKOSEは、まさに圧巻でした。
コレオグラフィー:SEPTENI RAPTURES
物語性を伝えるために、音楽、ダンス、ギミック、シンクロのタイミングまで、すべてが高い次元で融合していました。
一貫性のある展開により、ストーリーがより深く伝わってきた点を評価しました。
ステージング:SEPTENI RAPTURES
まるで一本の映画を観ているかのような没入感とインパクトがあり、その世界観に引き込まれました。圧倒的なステージングでした。

PEET
Be Bop Crew
Style of fusion
日本ストリートダンス界で絶大な影響力を誇る伝説のダンスチーム「BE BOP CREW」メンバー。
西日本最大規模のダンススタジオSTUDIO FLEXの取締役会長を勤めており、国内外で活動している。
JUDGE COMMENT
CSを観るたびに毎回思わされるのは、「もうこれ以上の作品はないだろう」と感じたその先に、さらにその期待を上回る作品が現れるということ。
我々が愛してきた“ダンス”という表現の無限の可能性は、まだまだ終わらないのだと改めて実感しました。
この奇跡のような瞬間が実現できているのは、日々作品と真摯に向き合っているDリーガー、そしてその想いを支えるディレクターたちの存在があってこそだと思います。
特に今シーズンは、勝敗が明確に分かれるシーンが多く見られました。
それは、審査基準がしっかりと練られ、どのチームにも平等な条件が整えられていたからこそ。
その中で結果を残していたのは、自分たちの「ダンス」と真剣に向き合い、自分たちの「作品」と妥協なく向き合ってきたチームでした。
その事実に、強く胸を打たれました。
評価の軸としてもっとも重視したのは、**ダンスのテクニックにおける“質感”**です。
言い換えれば、ジャンルごとのベーシック(基礎)の質感がどこまで表現されていたか、という視点です。
CS決勝戦:KADOKAWA DREAMS vs CyberAgent Legit
■テクニック ▶ CyberAgent Legit
細部まで徹底されたダンスの“質感”が明確に伝わってきました。
そしてそれは、一部のメンバーだけでなく、8人全員が高い水準で体現していたという点が決定的でした。
■コレオグラフィー ▶ CyberAgent Legit
振りのシンクロだけでなく、音のニュアンスや質感まで統一されていたことで、8人がまるで一つの生命体のように見えました。
思わず「次元が違う」と感じさせる、圧倒的な完成度のコレオグラフでした。
■ステージング ▶ CyberAgent Legit
多様なジャンルをシームレスに切り替えて展開しながらも、そのすべてに無理がなく、非常に洗練された構成でした。
さらに、視点誘導や照明演出も的確で、サプライズ要素もしっかりと準備されていて、作品としての「魅せ方」が非常に高いレベルで成立していました。

長谷川達也
DAZZLE
ダンスカンパニー「DAZZLE」主宰。振付家/演出家/アーティスト。国内外の演劇祭で数々の受賞歴、日本初常設イマーシブシアターを上演、ダンスエンターテインメントの先駆者として活躍中。
JUDGE COMMENT
Dリーグが5年目を迎え、これほどまでに高い完成度のパフォーマンスを継続して届ける全チームの皆さんに、まずは心からのリスペクトを贈ります。
そして、シーズンを重ねるごとに高まっていくファンの熱量にも、同じダンスシーンで活動する身として大きな喜びを感じました。
ダンスカルチャーは今や、アートやエンターテインメントとしての側面も強く持ち始め、各チームが多様なアプローチで作品づくりに挑んでいることは非常に歓迎すべきことです。
その一方で、今シーズンは「ダンスとは何か」という根本をあらためて見つめ直すような、そんなタイミングにもなっていたように思います。
今後、この表現の流れがどのように変化し、あるいは継続していくのか。各チームがどんな進化を遂げていくのか。
そして私たち観る側が、アートやエンタメをどう受け止めていくのかもまた、大きなテーマとして浮かび上がってくると感じています。
また今シーズンから導入された「シンクロパフォーマンス」「エースパフォーマンス」という新たな評価軸は、明確に各チームの戦略に影響を与えており、非常に興味深い要素でした。
とりわけ「シンクロ」は競技性の象徴とも言える項目であり、ストリートダンス特有の“揺らぎ”とは対極にある価値観です。
それでも各チームがこの要素に真正面から挑んだことは、Dリーグならではの進化であり、大きな意義があったと思います。
そして特筆すべきは、照明へのアプローチ。数分という短い作品の中に信じられないほど多くの照明キューが組み込まれ、その演出力に圧倒されました。
今後、この“光”がダンス表現にどのように組み込まれていくのか。相乗効果への期待と、表現過多になってしまう不安とが入り混じる、まさに過渡期だと感じています。
与えられた「テクニック」「コレオグラフィ」「ステージング」の審査項目の中で、チームの得意分野にあらかじめ加点するような見方ではなく、あくまで各試合ごと・各作品ごとの挑戦とその成果を比較しながら評価しました。
身体操作の巧みさはもちろん重要ですが、個人的には「振付やコンセプトのアイデア」と、それを「どれだけ明確に表現できるか」が鍵だと考えています。
踊る力と、伝える力。それぞれは異なる能力ですが、両方が高い次元で融合したとき、作品は“感動”へと昇華されていきます。
結果が伴わなかったとしても、新しいチャレンジをしたという経験は必ず今後に活かされるもの。今後もDリーグが挑戦を歓迎する場であり続けることを願っています。
2stSEMI FINAL
SEPTENI RAPTURES vs KADOKAWA DREAMS
■ テクニック ▶ KADOKAWA DREAMS
SEPTENI RAPTURESは「ダンスを使って情景やコンセプトを伝える」ことに長けた作品づくり。対するKADOKAWA DREAMSは「背景や演出を活かし、ダンスそのものをどう魅せるか」に注力した印象でした。
どちらの方向性も甲乙つけがたいものですが、今回は“ダンスそのものから伝わる熱量”という点で、DREAMSに軍配を上げました。
ただし、RAPTURESが小道具を多用し、通常とは異なるバランスで構成される中でもそのすべてをコントロールしていた点は大きな挑戦であり、高評価でした。
■ コレオグラフィ ▶ KADOKAWA DREAMS
RAPTURESは1試合目の「寒気」、2試合目の「換気」という同音異義のテーマで、ユニークな構成を展開。工事現場を思わせる舞台美術や小道具も相まって、情景描写としての完成度が非常に高く、エンターテインメント性に優れた作品でした。
一方のDREAMSは、障子を用いて和の世界観を描き出し、ストリートダンスと日本的精神性を融合させるという独自のスタイルを確立しつつあります。
RAPTURESの現代的な視点に対し、DREAMSはより宗教的・文化的な表現で対抗。両者とも異なる“日本らしさ”を見せてくれましたが、コンセプトの深度と、ダンスの力強さとのバランスにおいて、わずかにDREAMSが上回ったと感じました。
■ ステージング ▶ KADOKAWA DREAMS
RAPTURESは多様な舞台装置を用いたことで視覚的な情報が非常に多く、細部まで作り込まれていた一方で、見るべき焦点がやや分散し、印象的なシーンが残りづらくなってしまった印象がありました。
DREAMSは障子というシンプルな美術を最大限に活用し、視覚効果や視線誘導のうまさが際立っていました。エースの引き立て方や構成の精密さも光り、見やすく印象深い仕上がりでした。
ステージ中央への構成集中によりやや空間の広がりは抑えられていましたが、その分、高低差や奥行きの巧みな演出によって補われていたのが印象的でした。

KAORIalive
K fam
Memorable Moment
アジア最大振付師コンテストにて優勝し、数々な成績を残し世界中から注目を集める。現在はミュージカルや様々な振付、ASのオリンピック強化スタッフとして活動している。
JUDGE COMMENT
今シーズンから新たに加わった「エース(個の魅力)」と「シンクロ(チームの統一感)」という評価項目により、パフォーマンスの見え方に深みが増し、昨年以上に見応えのある内容になったと感じました。
その一方で、この2つの要素をバランス良く作品に落とし込む難しさや、シンクロの精度と難易度をより高めていく必要性も、今後の大きな課題として見えてきたように思います。
ダンスは複合芸術であり、ジャンル・音楽・表現方法・演出など多様な側面を持つ中で、 今回はそれらに加えて**スポーツ的視点(スキルやフィジカルの強さ)**も大切にしながら、各項目ごとにしっかりと甲乙を判断させていただきました。
FINAL
KADOKAWA DREAMS vs CyberAgent Legit
●テクニック ▶ CyberAgent Legit
両チームともに高いスキルを持ち、安定感やこれまで培ってきた信念・強さが身体からしっかり伝わってくる素晴らしい内容でした。
ただ、衣装によって身体のラインがやや見えづらくなっていた部分があり、それが評価に影響したことも否めません。
その点を含めて、より深みを感じたCyberAgent Legitに軍配が上がりました。
●コレオグラフィー ▶ CyberAgent Legit
音とただ“シンクロ”しているのではなく、身体の動きが音を先導しているような印象を受けました。 まるで、音の流れそのものが身体を通じて生まれているような、音の伝導力に優れた作品でした。
●ステージング ▶ CyberAgent Legit
全体を通して、「必要なものだけを残す」という美学が貫かれていたように感じました。
どのシーンも明確で印象的、過不足なく、すべてが心に残る作品だったと思います。

KENTARO!!
Dayonashiik
ダンサー/振付家/音楽家。自作音源を駆使し、ストリートダンスを基調としながら比喩に満ちた長編をソロ、グループ合わせて30本以上創作。
国内外で単独公演を行う。アートシーンでも様々な賞を受賞。
JUDGE COMMENT
今シーズン、初めてジャッジとして参加させていただきましたが、全チームにしっかりと「色」があり、とても素晴らしいシーズンでした。
ラウンドを重ねるごとに、Dリーガーやチームの成長を肌で感じることができ、感動する場面も多々ありました。
日本のユニゾン精度やフォーメーション、基礎力は世界一と言っても過言ではなく、Dリーグは“グループダンスの世界最高峰”と言えるプロリーグだと思います。特に8人で踊る意義をしっかり理解し、それを活かして団結力で勝負したチームが結果を残した印象です。
今季1位・2位となったCyberAgent LegitとKADOKAWA DREAMSは、チームとしての強度が他を凌駕していたと感じました。
得意ジャンルが不利に感じる場面もあるかもしれませんが、それこそが個性であり、長所にもなり得ます。対戦順や相手との相性も勝敗に影響しますが、その中でも突破口は必ずあります。結果に悩みながらも、スタイルを貫いてほしい、進化の兆しが見える作品も多くありました。
細かい点では、照明によってダンスが弱く見えてしまうケースや、映像演出(カットチェンジなど)による印象の違いも気になりました。生と配信で見え方が変わる中、制作側の苦労も感じています。
それでも全チームに伸びしろを感じており、この先の変化がとても楽しみです。常識を疑い、壊して、再構築していくようなフレッシュな作品が、まだまだ生まれてくると確信しています。
◎テクニック
チームとしてのリズム感・グルーヴ、一体感のある動き
チームならではのユニゾンやルーティン、シンプルに“上手い”ダンス
個々の動きが作品にマッチしているか、身体性の特化が活かされているか
◎コレオグラフィー
音楽とリンクした表現(音の具現化や拡張性)
振付の独創性・創造性(サンプリングの再解釈も含む)
揃える/揃えないのバランス、強度や緩急の使い分け
◎ステージング
起承転結の構成、空間の斬新な使い方や変化のあるフォーメーション
表情・演出・違和感含めた感情表現
世界観を際立たせる衣装・小道具・照明の融合
2stSEMI FINAL
SEPTENI RAPTURES vs KADOKAWA DREAMS
1. テクニック KADOKAWA DREAMS
両チームともに高いスキルを披露しましたが、SEPTENI RAPTURESは動きを詰め込み過ぎたため、やや雑に見える部分があり、技術の輪郭がややぼやけた印象を受けました。
一方、KADOKAWA DREAMSは8人でのシンクロが非常に精度高く、爆発力あるパフォーマンスを実現。各パートも音との調和が取れており、チームとしての完成度が際立っていました。
2. コレオグラフィーSEPTENI RAPTURES
SEPTENI RAPTURESは楽曲の展開に沿ってスタイルを巧みに変化させ、コミカルな振付を自然に取り込んでおり、作品としての完成度が高く評価されます。反対に、KADOKAWA DREAMSはアクロバットや美術面でのインパクトは大きかったものの、振付そのものの存在感がやや薄れ、ダンスの芯が見えづらくなった印象が残りました。
3. ステージング SEPTENI RAPTURES
SEPTENI RAPTURESは広い空間を有効に使い、美術との連動も含めて、8人で構成する意味や一体感が強く伝わってきました。KADOKAWA DREAMSは個々のパートの完成度は高かったものの、構成がセンターに集中していたことで、全体の広がりや物語性に制限が感じられた点が惜しまれます。

MEDUSA
ebony
WAACK/PUNKINGを主に、独自のスタイルで表現し、高度なボディーコントロールとしなやかなダンスで人々を魅了する。アーティストのバックダンサーや舞台出演、演出や振付を手がけ、国内外を問わず活躍している。
JUDGE COMMENT
Dリーグは、次世代の若手ダンサーたちにとって間違いなく「夢の舞台」だと感じました。
音楽制作、衣装、美術、小道具、照明に至るまで、企業の全面的なバックアップのもとで作品をつくり上げられるこの環境は、これまでのダンスシーンでは考えられなかった特別なものであり、心から素晴らしいと思います。
一方で、それだけの舞台だからこそ、ダンサー一人ひとりが命を懸けて臨んでいる。その覚悟が伝わってくるからこそ、こちらも簡単な気持ちでは関われない重さを感じました。
魂を削って作られた作品をジャッジすることの難しさ、そしてその重圧は想像以上で、毎回心が張り裂けそうになる思いで審査していました。
ジャンルの多様さゆえに、審査項目があることは一定の基準として助けにはなりましたが、それだけでは測りきれない“枠を超えた魅力”を感じるシーンも多く、非常に難しいジャッジだったと思います。
以下の観点をもとに、毎試合ごとに「瞬間の舞台」としての輝きをどれだけ体現していたかを重視して評価しました。
・今この瞬間にしか出せないLIVE感 (過去のパフォーマンスとの比較は行わず、その瞬間の表現力を評価)
・音楽性・感情表現・空気の支配力
・チームとしての一体感とバランス
それぞれの要素がどう融合し、会場に響くかという“総合的な舞台力”を中心に捉えました。
2stSEMI FINAL
SEPTENI RAPTURES vs KADOKAWA DREAMS
■ テクニック KADOKAWA DREAMS
音楽に対する繊細なニュアンスの乗せ方、ダンスの質感がとても高く、身体表現の豊かさが印象的でした。 特にアクロバットの使い方が効果的で、ただ派手なだけではなく、振付全体に自然に組み込まれており、会場の空気を一瞬で変えるほどのインパクトがありました。
■ コレオグラフィー KADOKAWA DREAMS
ミュージカリティをこれほどまでに的確に、かつ自分たちの世界観として昇華させていたのは圧巻でした。
「和」のテイストという得意分野でありながらも、そこで安定せずに新しい魅せ方を模索していた点に、攻めの姿勢を感じました。
フォーメーションの構築とその展開力、そしてダンスそのものの力強さが高いレベルで融合しており、KDならではの構成力の高さが光っていました。
■ ステージング KADOKAWA DREAMS
8人全員のパワーと一体感、そして「勝ちに行く」という強い意志がステージから真っ直ぐに伝わってきました。
完成度の高さに加えて、障子というモチーフの使い方も非常に巧みで、空間の奥行きや視線誘導が計算されており、アクロバットとの連携も見事でした。
作品全体としての構成美と、瞬間ごとの躍動感がしっかり噛み合っていたと思います。

Toyotaka
Beat Buddy Boi
HIPHOPクリエイティブ集団「Beat Buddy Boi」でストリートダンス世界一獲得。ヒューマンビートボクサーやライブ公演・映像作品の演出、舞台・ミュージカルにも活動の場を広げている。
JUDGE COMMENT
今シーズンは、リーグ全体の作品クオリティが一気に引き上がった印象を受けました。
前シーズンまでで、各チームの「攻め方」のバリエーションはある程度出揃っていたように思いますが、今季はそれをさらに研ぎ澄ませ、相手にどう対策していくかというプロセスを通して、クリエイションの質が一段階進化していたように感じます。
シアター系、ストイックダンス系、ユーモア系、カルチャー系など、それぞれのチームが持つ“手札”の中から、戦いに最も適したカードを選び抜く。
相手の出方を予想しながら引き算・足し算を重ねることで、これまでのダンスシーンでは生まれ得なかった戦略的かつ芸術的な作品が多く見られたシーズンでした。
また、「エース」や「シンクロ」といった審査基準は、観客に新たな見どころを提供しただけでなく、作品の作り方そのものに影響を与えた点が非常に印象的でした。
「このタイミングでシンクロを入れてくるのか!」
「こんなにも揃えてくるとは!」
「エースの登場に向けた流れが完璧すぎる!」
──そう感じる場面が何度もありました。
各チームがこの2つの要素をどのように全体の構成に昇華させるかが、今シーズンならではの大きな見どころだったのではないでしょうか。
総じて、Dリーグのルールや対戦形式がダンスの創造性を強く刺激した、極めてユニークなシーズンだったと思います。
「テクニック」「コレオグラフィ」「ステージング」の3つの審査項目に沿いながら、さらにそれぞれを自分なりに細分化して評価していきました。
その中で一貫して大切にしていたのが、「どれだけ“ノレる”作品だったか」という体感的な軸です。
一見シンプルに聞こえるかもしれませんが、衣装、音楽、世界観、完成度、オリジナリティ、ショーの緩急、表現力、小道具の使い方など、どれかひとつでも“引っかかり”があると、身体や心が素直にノれなくなってしまう。
だからこそ、細かく分析した各項目において、どれだけ自然に心と身体が反応したかを重視し、感覚的な部分も比較・審査を行いました。
1st SEMI FINAL
Valuence INFINITIES vs CyberAgent Legit
■テクニック ▶ CyberAgent Legit
正直、この項目が一番難しかったです。
Valuenceはフィジカル的な強さやグルーヴ感が抜群で、非常にハイレベル。
一方でLegitは、フロアムーブ、アクロバット、立ち踊りとあらゆる方向から高評価を狙う作品構成を見せていました。
最終的には、チーム全体でテクニックのニュアンスやクオリティがしっかり揃っていたという点で、ほんの僅差ながらLegitを選びました。
■コレオグラフィ ▶ Legit
Valuenceは、圧倒的なミュージカリティと、超高難度のムーヴを全員でやりきるチーム力に痺れました。
Legitは、細部まで緻密に作り込まれた構成が見事で、「やりすぎて詰め込みすぎる」「既視感が出てしまう」といった落とし穴に一切ハマらず、絶妙なさじ加減で魅せてくれました。
特に、フォーメーションの展開や照明演出が秀逸で、中盤の音楽の緩急と攻めの振付が完璧に噛み合っていた点を高く評価しました。
■ステージング ▶ Legit
この項目については、自分の中でLegitが明確に抜きん出ていたと感じています。
作品全体から、世界観や起承転結を“伝える力”がチーム全体に行き渡っているのが伝わってきました。
全員の高いダンス基礎力とショーとしての完成度が、その表現力をしっかりと支えていたと思います。
LegitのPOPやアニメーションは、ショー構成がある程度予想されやすいジャンルでもありますが、今回はその“予想”を大きく超えてくる仕上がりで、驚かされました。

バファリン
IB6side
バトル,コンテスト,WS,ジャッジ,ゲストショー,舞台,イベントオーガナイズ,指導など国内外問わず幅広く活動し、茨城初poppingチームでの世界大会受賞など茨城から可能性を切り開いている。
JUDGE COMMENT
まず、異常とも言えるハイペースで、しかも毎回これほどまでに濃密な作品を生み出している皆さんに対して、良い意味で「狂気を感じた」というのが正直な感想です。
自分自身も、評価される立場に立つことがあるので、この過酷な状況の中で作り出される作品に「優劣」をつけることの難しさ、そしてその行為のもどかしさを強く感じました。
それでも審査という役割を引き受ける以上、真摯に向き合うしかありませんでした。
出演者、関係者すべての方々に、心からのリスペクトを送ります。
今回は3つの評価項目に沿いながら、
自分なりの「ダンス的観点」から誠実にジャッジさせていただきました。
1st SEMI FINAL
Valuence INFINITIES vs CyberAgent Legit
■テクニック Valuence INFINITIES
シンプルさの中にしっかりとしたダイナミックさがあり、そこに大技や技術的なアクセントが織り込まれていて、リズムも一切途切れることなく最後まで流れていました。
ストリート感もしっかりと滲み出ていて、自然と身体が反応してしまうような熱量ある作品でした。
■コレオグラフィー CyberAgent Legit
この項目は、本当に甲乙つけがたい接戦でした。
どちらも多ジャンルの特性を活かしつつ、音へのアプローチやフォーメーションの構成など、あらゆる角度から作品を組み立てていたのが印象的です。
その中で、Legitの方がほんのわずかに上回ったかな、という印象。
とはいえ、限りなく“ドロー”に近い評価でした。
■ステージング CyberAgent Legit
これも非常に僅差ではありましたが、振りの揃い方や質感の一体感など、トータルでの完成度という観点から判断し、Legitを選ばせていただきました。
視覚的にも、ステージ全体を通して観客を引き込む力がわずかに勝っていたと感じました。

KATSUYA
THE FLOORRIORZ
TAKE NOTICE
BREAKINGのワールドカップとも言われるBOTYにて、史上初の3連覇を達成。
舞台作品への出演や、バトルや映像への自作音源の提供等を行い、活動の幅を広げている。
JUDGE COMMENT
今シーズンは、どのチームも非常にレベルが高く、細かな部分での勝負になる場面も多く、大変だったことと思います。短いスパンでのラウンドが続き、心身ともにタフなシーズンだったと思いますが、まずは何よりも「本当にお疲れ様でした」とお伝えしたいです。
勝敗にかかわらず、各チームが持つ個性やカラーがしっかりと感じられ、非常に見応えがありました。一方で、後半に進むにつれて「勝ちやすい構成」や「見せ方のパターン」のようなものがある程度見えてきた印象もあり、それによって演出や構成が似通ってきた部分もあったのが正直なところです。
まず何よりも「ダンス」を最優先に評価しました。
その上で、創意工夫やエンターテインメント性といった要素が、どのようにダンスに積み重ねられているかを意識しながら審査しました。
2ndTRIAL
KOSÉ 8ROCKS vs SEPTENI RAPTURES
■テクニック ▶ KOSÉ 8ROCKS
テクニック面では、KOSEが終始僕の思う「ダンス感」をしっかりとキープしており、なおかつフィジカルを最大限に活かしたアプローチが圧倒的でした。全体として非常に完成度の高いパフォーマンスだったと感じました。
■コレオグラフィー ▶ KOSÉ 8ROCKS
作品内にちりばめられた「ブレイキングの技術」と「純粋なダンステクニック」のバランスが見事でした。
セプテーニの攻めの姿勢も素晴らしかったですが、よりバランスのとれた構成を見せたKOSEに軍配が上がりました。
■ステージング ▶ KOSÉ 8ROCKS
セプテーニは小道具も含め情報量の多い演出で見応えがありました。が、KOSEはスプレーを使う等ありましたが、シンプルなステージングで「ダンスそのもの」を際立たせており、その選択が非常に効果的だったと感じました。

UNO
THE FLOORRIORZ
TAKE NOTICE
抜群のスキルとイマジネーションで見る者を魅了し続ける。多くの有名アーティストのダンサー、振付師、演出家として携わる他、様々なプロジェクトのクリエイティブディレクターとして多岐に活躍する。
JUDGE COMMENT
今回初めてジャッジとして関わらせていただきましたが、率直に「素晴らしい環境だ」と感じました。
SNSでの影響力があるダンサーや、バトルシーンで評価を受けているダンサーだけでなく、ジャンルやスタイルを問わず、多種多様なダンサーにチャンスが開かれている場であることが、最も印象に残った理由です。
誰もが光を浴びる可能性のあるこのフィールドは、本当に素敵でした。
全体評価ジャッジという立場から、まず意識したのは「作品全体をどう感じたか」ということでした。
作品が自分の心にどう入ってきたか、一瞬たりとも目が離せないような引き込まれる内容だったかどうかを、常に自問しながら評価しました。
振り返ると、「起承転結」と「オリジナリティ」が、私にとって大きな評価のキーワードになっていたと思います。
Valuence INFINITIES vs dip BATTLES
テクニック:Valuence INFINITIES
難易度の高い動きに挑戦しながらも、アスリート的ではなく、あくまで“ダンサー”としての魅力を保っていた点が印象的でした。
さらに、多様なジャンルが音楽のもとに見事に融合し、チームとしての一体感を生み出していたことにも感動しました。
コレオグラフィー:dip BATTLES
POPというジャンルに絞り込んだ構成が、ダンサーとしてのストイックな姿勢を強く感じさせる作品でした。
照明を抑えた状態でも、その作品の純粋な完成度が伝わってきた点から、dipを高く評価しました。
ステージング:Valuence INFINITIES
衣装が特別に豪華というわけではありませんでしたが、音楽やダンスとしっかりマッチしており、それがチームの色気や世界観の演出に繋がっていたと感じました。
選曲・演出構成全てのバランスがパフォーマンス全体と調和していた点を高く評価し、バリュエンスを支持しました。

KAZANE
LUCIFER
Novel Nextus
国内外一線で活躍し、唯一無二のハウスダンスを武器とする。15回を超える世界大会での優勝経歴、BTS、JHOPEを始め、様々なアーティストへの指導、振付など幅広く活動している。
JUDGE COMMENT
まずは、このような大役を任せていただき本当にありがとうございました。
きっとDリーガーの皆さんは、たくさんの思いを背負ってあのステージに立っている――その気持ちに応えられる審査員でありたいと思いながら、毎ラウンドのジャッジに臨みました。
ただ、どの対戦もレベルが非常に高く、評価が難しい場面も多々ありました。
その中で改めて感じたのは、「人間」が踊っているという当たり前だけれど大切なこと。
たった一人でも、違う方向を向いた表現をしていたり、準備不足があったりするだけで、作品全体の印象が変わってしまう。
最終的に勝利につながる作品は、そういった細部まできちんと設計されているのだと、改めて実感しました。
今回の評価では、3つの観点を自分なりに以下のように置き換えてジャッジしました。
①どんな世界観であっても、「ダンス」をしっかりと見せようとしているか?
②8人全員の「モチベーション」と「イメージ」が一致しているか?
③思わず“もう一度観たい”と思える作品だったか?
1st TRIAL
Valuence INFINITIES vs dip BATTLES
■テクニック ▶ Valuence INFINITIES
バリュエンスはHOUSEというジャンルを軸に、音楽表現としての「ダンス」の本質をしっかり捉えていました。
ジャンル対決としては、POPを主軸に据えたdipに一歩譲るかとも思いましたが、“音楽に身体で応える”というダンスの枠組みで見ると、わずかにバリュエンスが上回っていたと感じました。
体幹の強さや安定感も伝わってきて、総合的に高く評価しました。
■コレオグラフィー ▶ Valuence INFINITIES
バリュエンスは、音楽に明確な展開がない後半でも、ダンスそのものでしっかりと構成を展開していたのが非常に印象的でした。
dipのPOPに対するこだわりと信念も強く感じられましたが、音楽表現としてのコレオグラフの完成度という観点で、僅差ながらバリュエンスを支持しました。
■ステージング ▶ dip BATTLES
dipの作品は、その世界観に素直に引き込まれました。
やりたいことが最初から最後までブレずに伝わってきて、作品全体として非常に説得力がありました。
その点を評価し、この項目ではdipを選びました。

Sota
GANMI
「VIBE DANCE COMPETITION」を日本初制し、ダンサー主体でオリジナル楽曲を制作しLIVE 等で活躍するダンスアーティスト「GANMI」のディレクター。国内外のアーティストの演出・振付を多数つとめる。
JUDGE COMMENT
今シーズン、CS含め7ラウンドでジャッジを担当させていただきました。
関わった全ての皆さん、本当にお疲れ様でした。
この舞台に立つ選手たちへのリスペクトを、ジャッジという立場でしっかり返すべく、毎ラウンド全力で取り組みました。
勝敗の理由や作品の良さを言語化し、皆さんに正確に届けることが、ジャッジの大切な使命であると改めて感じました。
私の評価は以下の4つの観点をベースにしています
1.総当たり戦ではなく1対1の対戦であること
2.「演者」と「作り手」の両方に評価軸があること
3.各ジャンルごとに異なる評価視点が必要であること
4.スポーツ性とエンタメ性を兼ね備えた“お客様に見せる作品”であること
この4点をふまえて、以下の3項目で評価しました。
【テクニック】
・どんなテクニックを選んだか
・練習量・精度
・演者がパフォーマンスを完遂できているか
【コレオグラフィー】
・印象に残る振付の強さ
・展開性 or 一貫性の完成度
【ステージング】
・相手との相性・戦略性(何を出すか、どう出すか)
・会場の空気を掴む“裏切り”と“間”の演出力
FINAL KADOKAWA DREAMS vs CyberAgent Legit
【テクニック】CyberAgent Legit
両チームとも自分たちの強みを活かした高難度の作品で、練習量や完成度の高さが伝わってきました。
ただ、KADOKAWAさんの中盤にわずかな乱れが見えた点を踏まえ、Cyberさんを支持しました。
【コレオグラフィー】KADOKAWA DREAMS
両者とも印象的な振付パートがありましたが、KADOKAWAさんの方が長い時間にわたり細かく詰め込まれた振付で印象が強かった点を評価。
展開性と一貫性については両者拮抗していたため、総合的に見てKADOKAWAさんに一票を入れました。
【ステージング】CyberAgent Legit
Cyberさんは多様なジャンル・音をテンポよく展開し、観客の「予想を裏切る間」の使い方が上手く、構成力にも優れていました。
KADOKAWAさんは余裕ある間の取り方や一貫した世界観が魅力でしたが、今回は展開のスピードと構成でCyberさんが一歩上と判断しました。

SHUHO
TOKYO FOOWORKZ
”The House Dance Project” 中心メンバーとしてニューヨークで活動し海外でのWORKSHOPやJUDGEなど世界的に活動しているダンサー。数々の国内外タイトルを獲得している。
JUDGE COMMENT
ルール変更にしっかり対応できたチームが、結果として上位に残った印象です。
言い換えれば、どのチームにもチャンスがある中で、“自分たちが確実に取れる票”をしっかり取りにいったチームが結果を残していたと感じました。 その中でも、KADOKAWAとCyberが今シーズンも変わらず1位・2位にいたことを考えると、やはり頭一つ抜けているなと感じました。
■ シンクロ
チームの特色をしっかり出しながら、ただ“安全にまとめる”のではなく、攻めた振付をしているチームを高く評価しました。
■ エース
限られた2×8の短い時間の中で、主に個人のスキルに注目してジャッジしました。
その上で、楽曲のどの部分で踊るかも非常に重要だと感じました。ソロが最も映えるタイミングでエースを配置できているかどうかも、評価のポイントの一つになりました。
2stSEMI FINAL
SEPTENI RAPTURES vs KADOKAWA DREAMS
■ シンクロ:KADOKAWA DREAMS
作品の中でシンクロパートを“見せ場”としてしっかり位置づけており、攻めたルーティーンが印象的でした。
細部まで作り込まれたダンスも素晴らしく、またリスクを取りに行くチャレンジ精神も評価してKADOKAWA DREAMSを支持しました。
■ エース:SEPTENI RAPTURES
気迫と即興性が120%表現されており、圧巻のパフォーマンスでした。音楽が変化するタイミングと彼のダンスの勢いが見事にマッチしていて、文句なしの素晴らしさでした。

GUCCHON
Co-thkoo
FAB5BOOGz ALL STARz
HOOD CREW
WATER BOYz
国内外問わず数々のタイトルを手にしている。現在も日本のバトルシーンを引率し、振付師やコレオグラファーとしても活躍。
JUDGE COMMENT
まず、ダンスだけでこの大きな会場を満員にできていること自体、本当にすごいことだと感じました。
また、各チームのダンスは映像でも何度か見てきましたが、生で見るとやはり熱量がまったく違いました。
2週間という短い期間で1作品を仕上げていく皆さんは想像を絶する集中力と忍耐だったと思います。
心から「お疲れさまでした」と伝えたいです。
基本的には「ストリートダンスそのもの」に重きを置いて評価しました。
シンプルに音楽にノレているかどうか。
身体の使い方は自由ですが、エースパートへのインやアウトの感じ方含めて「音楽にノル事」がジャッジである自分には重要なポイントでした。
シンクロパートでは、動きが「ダンス」としてしっかり揃っているかを重視。
その上でタイミングだったり動きのラインだったり音楽とマッチしているかを見ました。
エースパートでは、個人のスキルに加え、楽曲の“どの部分”でソロを見せているかも、ジャッジのポイントとして見ていました。
そして確固たる個性を持ち人を惹きつける力を兼ね備えているかも重要視しました。
※エースは見ててワクワクします!
1st SEMI FINAL
Valuence INFINITIES vs CyberAgent Legit
■ シンクロ:CyberAgent Legit
落ち着いた中にも安定感のあるダンステクニックをしっかりと表現しており、その点を高く評価しました。
■ エース:CyberAgent Legit
テクニック面ではどちらも非常にハイレベルで、正直甲乙つけがたかったのですが、音楽性の表現という点で、より引き込まれたCyberAgent Legitを僅差ですが支持しました。

WREIKO
DEEP
0ne∞ness
狛犬
多数の優勝歴を持ち、パラリンピックオープニングセレモニー出演、数々のアーティストダンサー振付師、指導者、メンタルトレーナーとして活躍し全国世界を駆け回る。
JUDGE COMMENT
チャンピオンシップの決勝戦はチャンピオンを目指すからこその気迫に、いつも以上に圧倒されました。
8人のバランスの良さや安定感に加え、本番で自分自身を超え、空間と一体になった瞬間を見せてくれたメンバーもいて、その集中力と表現力に心を打たれました。
その「本番にしか出せないダンスの力」が、一定の評価基準を大きく超え、高評価につながったと強く感じました。
「ダンステクニック」「演出」「個性」の3つの観点からジャッジしました。
振り返ると、「ダンステクニック」と「演出」については実力が拮抗しており、非常に甲乙つけがたい場面が多く見られました。そのため最終的な判断は、「個性」にどれだけの拘りがあったかを重視することが多かったです。
シンクロ部門
限られた時間の中で展開される音楽に対して、「ダンス」「ファッション」「8名の一体感」がどれだけリンクしているかを総合的に捉えて評価しました。
FINAL
KADOKAWA DREAMS vs CyberAgent Legit
■ シンクロ:CyberAgent Legit
その場の“LIVE感”を全力で楽しんでいる姿がとても印象的でした。
落ち着いた中にも確かなテクニックが感じられ、安心感のあるパフォーマンスにグルービーで見ていて心地よく、Cyberに支持が傾きました。
■ エース:CyberAgent Legit
エースに与えられた2×8の時間の使い方が非常に効果的でした。
音楽へのアプローチはもちろん、呼吸まで感じられるほど落ち着いていて、それでいてテクニックもしっかり見せていることが高評価のポイントでした。

HANAI
BE BOP CREW
大阪を拠点にプロダンサーとして活動。
2010年に「BE BOP CREW」に加入。
ショーケース、インストラクター、コレオグラファー、DJ、オーガナイザーなど国内外問わず活動中。
JUDGE COMMENT
総じて「面白かったし、これまでにない斬新さがあった」と感じました。
もちろん、Dリーガーの皆さんにとっては大変なチャレンジだったと思いますが、見る側や観客にとっては、“ドキドキ”や“ワクワク”が増す内容で、非常に楽しめたのではないでしょうか。
前提として、「音楽性」を重視してジャッジしました。
ただ、音楽性を主軸に置くと「そうではないスタイル」とのバランスを取るのが難しい場面もありました。
とはいえ、最終的にダンスとは、“お客さんやジャッジを含む観ている人と音楽・身体表現をどう共有するか”という点が重要だと考え、その視点で評価を行いました。
※CS当日のジャッジではありません。後日 「配信」で見た上でのジャッジ観点の意見です。
1st TRIAL Valuence INFINITIES vs dip BATTLES
■ シンクロ: Valuence INFINITIES
最近のトレンドとして、シンクロ部分では「揃えること」を重視しすぎて、ダンス感が薄れてしまう傾向がありますが、バリュエンスはそのトレンドを押さえながらも、しっかりと“ダンスらしさ”をキープしていた点が評価の決め手になりました。
■ エース:dip BATTLES
バリュエンスの圧倒的なスキルに対して、dipのKENSEIは音楽の表現力とダンススキルの噛み合わせが非常に秀逸でした。演出も含めて総合的に判断した結果、わずかな差ではありますが、dipに軍配を上げました。

KATSU ONE
現在のBREAKING競技化に関する日本チームのリード、世界と日本のシーンの掛橋を担う存在。その傍ら、現役BBOYとして全国各地はもちろん、世界中のサイファでレペゼンし続けるRAW BBOY。
JUDGE COMMENT
「エース」と「シンクロ」の要素が加わったことで、競技性の観点から非常に良いチャレンジだったと感じました。
作品全体の多くの部分は自由に創作できる中で、それらの要素が入ってくるバランスも十分許容範囲であり、より面白さを引き出す要因になっていたと思います。
シンクロパートでは「空間の使い方」と「ダンスの多様性」、 エースパートでは「ストーリーがあるかどうか」、そして「スキル・個性」この2つの視点を主軸としてジャッジしました。
※CS当日のジャッジではありません。当日 「観客席」で見た上でのジャッジ観点の意見です。
2stSEMI FINAL
KOSÉ 8ROCKS vs SEPTENI RAPTURES
■ シンクロ:SEPTENI RAPTURES
身体と空間の使い方にしっかりと工夫が見られ、積極的に攻めている印象を受けました。構成としても挑戦的で見応えのあるシンクロパートだったと思います。
■ エース:SEPTENI RAPTURES
KOSÉ 8ROCKSは圧倒的なスキルで観る者を惹きつけ、SEPTENI RAPTURESはストーリー性と高いダンススキルを兼ね備えていました。非常に拮抗したエース対決でしたが、最終的には僅差でSEPTENI RAPTURESに軍配を上げました。
JUDGE COMMENT
ジャンルやスタイルが全く異なる、ハイレベルなダンスを短時間で一気に見る機会は、これまでにない貴重な体験でした。審査員として強い緊張感を持ちながらも、ひとつひとつのダンスに深く引き込まれる、非常にエモーショナルな時間でした。
ソロ楽曲によっては、ダンサーの得意分野とミスマッチになった場面もあったと思います(BPM、ビートの鳴り方、上モノや歌の有無など)。しかし、そうした中でも、自分の技術をうまく落とし込めた人が、結果として高得点につながっていたと感じます。
デュオ・トリオでは、ルーティンの質や構成、踊りの方向性が他チームと異なることで、それぞれに明確な差が生まれていました。
基本的には、「プロとしてスキルと表現力を兼ね備えているか」、そして「飽きずに見ていられるか」を軸として評価しました。
• ソロ:即興力や空間の使い方、音楽へのアプローチ、動きや感覚の独創性。
• デュオ:上記に加え、2人ならではの間合いや掛け合い、ムーブメントの開発力、タイトなルーティンの精度。
• トリオ:さらにフォーメーションや構成力が加わります。
ただし、これらをすべて超えてくるような「何か」があるかどうか——つまり、主観的にもっとも評価したくなるような、既成概念を壊すような力があるかも重視しました。
見ている側が“考える間すらない”ような恍惚感や高揚感を与えられた場合は、自然と高得点になりました。
1st CYPHER:KENSEI(dip BATTLES)
ステージ上での在り方が非常に素晴らしく、たとえ無音でゆっくり動いていても自然と目が引き寄せられるような存在感がありました。技術力はもちろん、喜怒哀楽の表現力、そしてそれらが彼のスタイルにしっかり融合している点が印象的でした。即興性と、その場の空気の「揺れ感(ノリと技術の中間)」が絶妙にマッチしており、高評価につながりました。
2nd CYPHER:DYM MESSENGERS
今回の中で最も独創性を感じた2人です。ヒップホップを専門とするわけではないと思いますが、それが逆に楽曲やその場の空気とマッチし、とても良かったです。一見クールに見える中に、芯の強さややや暴力的な(良い意味で)爆発力があり、スタイルを行き来するさじ加減が絶妙でした。後半のハウスステップの細かさや、最後のポージングまでの構成も素晴らしく、高得点でした。
3rd CYPHER:KELO(KADOKAWA DREAMS)
寺山修司の作品に出てきそうな独特の雰囲気と、「今を生きている感覚」を併せ持つようなダンサーです。衣装選びからして個性が際立っており、世界観と表現力の高さが際立っていました。アニメーションを軸に、自分の身体に合った動きや表情を非常に精度高く表現していて高評価。アバンギャルドな印象が強いですが、実は相当練らないとできない高度な技術を、自然に見せられる強さも持っています。
4th CYPHER:avex ROYALBRATS
RIKI HONDAくんからは、「自分のスタイルなら誰にも負けない」という強い気持ちが伝わってきました。普段のチームカラーとは少し違いましたが、技術的にはしっかりとつながっていて、それがトリオとしてうまく作用していたと思います。関係性も良好でした。細かいミスがなければ、さらに点数が伸びていたかもしれません。ですが、サイファーに必要な要素が3人のダンスに多く詰まっていて、高評価でした。
5th CYPHER:HIRO10(Valuence INFINITIES)
踊りの入り方や、技のバリエーションによって生まれる緩急がとても良く、全体をいくつかのセクションに分けて構成したバランス感覚も優れていました。重心の低いエアートラックスや、足のフォルムなど、パワームーブがひとつひとつ丁寧にかっこよく構成されていて、フリーズも音にしっかりハマっていました。ここまでで大技が多く登場してやや“見慣れた空気”の中、出番の1発目で会場を一気にリフレッシュさせた役割も大きかったと思います。